日本比較文学会東北支部のページ

日本比較文学会の東北支部活動について情報発信して参ります。

[研究発表]要旨①

賈戈輝(筑波大学大学院)

 

      牛島春子〈開拓文学〉からみる農民への眼差し

 

 作家・牛島春子(1913〜2002)は、1936年から1946年まで、「満洲国」即ち中国の東北地方に足掛け十年間住んでいた。本発表では、牛島の「満洲」作品のうち唯一の〈開拓文学〉といえる作品である『處女地 水溝開設』(1939)について、開拓生活をめぐる表現に焦点を当て、作家の開拓民に対する眼差しを明らかにする。『處女地 水溝開設』は、牛島が1939年朝鮮人開拓団の生活に基づいて執筆したものである。本発表は、小説に描写される農民の開拓生活について、歴史的に検討した上で、牛島の〈開拓文学〉の捉え方や特徴を考察する。そして、植民地主義を基盤とする執筆時期までの社会背景を視野に入れながら、彼女の他の農民や農村についての作品と比較する。このことから、牛島の農民に対する見方の変化が、植民地においてどのように形成されたのかを明らかにしたい。

日本比較文学会2020年度東北大会のご案内

本年度東北大会のご案内です。

日本比較文学会2020年度東北大会を下記の要領で開催致します。

なお今大会はオンラインを併用する予定です。

皆様どうぞご参加ください。(一般来聴歓迎)

 

          記

 

・日時 2020年11月29日(日)13:00~

・場所 岩手県盛岡市 マリオス(盛岡地域交流センター)181会議室    

www.malios.co.jp

 

 

[開会の辞]13:00~ 森田 直子(東北支部長)

[研究発表]13:05〜16:50  *1人につき発表25+質疑15=40分

 

賈戈輝(筑波大学大学院) 

 牛島春子〈開拓文学〉からみる農民への眼差し

 

 

髙畑早希(名古屋大学大学院)

 大庭みな子「火草」・「トーテムの海辺」論 

    ――自然や民話と交感して物語る女性像をめぐって

 

【休憩 15分】

 

矢島真澄美(東北学院大学

 写真家フェリス・ベアトの風景写真とピクチャレスク

 

 

山崎義光(秋田大学

 報道の時代のなかの島木健作満洲紀行』

 

【休憩 10分】

 

森岡卓司(山形大学

 1960年前後の〈東北〉表象と石坂洋次郎編『津軽

 

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*今回はオンライン会議システム「Zoom」を使用したオンラインでの開催を併用する形式で行います。

詳細は後日、支部会員宛のメールおよびこのホームページでお知らせいたします。

オンラインでの学会参加をご希望の方は、hikakuth@gmail.com日本比較文学会東北支部オンライン問い合わせ先)までご連絡ください。

 

 

[書籍紹介]日本比較文学会東北支部編『問題としての「アメリカ」 比較文学・比較文化の視点から』

日本比較文学会東北支部編による『問題としてのアメリカ 比較文学比較文化の視点から』(晃洋書房、2020年8月10日)がこのたび刊行されました。

 

2015年から支部研究会で開催してきた連続特集テーマ「アメリカ」の企画の書籍化です。支部活動での研究成果をこの機会にご高覧いただけばと思います。

 

なお、東北支部会員のみなさまには、一冊ずつお手許にお届け致しました。なお、書籍代は伊藤豊氏・森岡卓司氏の両編者に対して山形大学の出版助成によるものです。両先生、ご尽力ありがとうございました。郵送料は支部会計より支出しています。

宜しくお願い申し上げます。

 

     ◆◇◆目 次◇◆◇

はじめに                      森田直子

第Ⅰ部 日本文化における「アメリカ」

 

第1章 川端康成伊豆の踊子』とThe Izu Dancer
 ――アメリカ冷戦期文化政策と翻訳された自然――   江口真規


第2章 民主主義とエマソン
 ――高木八尺におけるアメリカ言説のアイロニー―― 小林竜一

 
第3章 大衆社会の「美」に逆らうもの  
 ――三島由紀夫の批評的創造――          山﨑義光


第4章 村上春樹の『地獄の黙示録』受容とヴェトナム戦争   
 ――エッセイ『同時代としてのアメリカ』から小説「午後の最後の芝生」へ――                            高橋由貴
                         
第5章 ふたつの名前を持つ映画について
 ――谷崎潤一郎「人面疽」論――          森岡卓司


第6章 「アメリカ」を書き直す 
 ――川端康成の1930年前後をめぐって――      仁平政人

 

 第Ⅱ部 アメリカ言説の諸相

第7章 親愛なるアメリカの不在
 ――ロシア語亡命詩人ブロツキーの詩学・世界図―― 中村唯史


第8章 ポストコロニアルアメリカ表象へ
 ――韓国における〈戦後〉のアメリカ表象をめぐって―― 佐野正人


第9章 ゾンビ
 ――アポカリプス的世界観から生み出される未来への希望―― 梁 姫淑

第10章 司馬遼太郎が見たアメリ
 ――比較文化心理学・文化心理学・異文化マネジメントの観点から――                                    金子 淳   
                                   
第11章 江藤淳の〈反米〉と「私」
 ――『アメリカと私』再読――          塩谷昌弘

 

第12章 反米主義  
 ――「感情のうねり」をめぐる私考――      伊藤 豊
 

あとがき ――「アメリカ」という問題群――    伊藤 豊・森岡卓司

 

 

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www.koyoshobo.co.jp

【お知らせ】支部役員会の開催について

日本比較文学会東北支部役員会を下記の要領で開催いたします。

万障お繰り合わせの上ご出席下さいますよう、お願い申し上げます。

 

1 日時 8月1日(土)、14:00-15:00

2 開催方法 Web会議(アドレスは別途連絡)

*なお、Web会議への参加が難しい方は、東北大学大学院文学研究科に参加のための会場を設けますので、ご連絡ください。

3 議題    
(1)全国理事会報告
(2)2020年度東北大会について
(3)その他

[書籍紹介] 秋草俊一郎『「世界文学」はつくられる 1827-2020』

書籍情報のご紹介です。

日本比較文学会2019年度東北大会の特集シンポジウム「言語の選択と文学の流通」でご講演いただいた秋草俊一郎氏のご著書が刊行されました。

 

秋草俊一郎氏『「世界文学」はつくられる 1827-2020』(東京大学出版会、2020年6月26日)

 

www.utp.or.jp

特に第Ⅱ部第二章「六千万冊の夢 ソヴィエト版「世界文学全集」はいかに鍛えられたか 1967-1977」は、東北大会でのご講演(「ソヴィエトと「世界文学」―翻訳と民族語創作の奨励をめぐって」)に関わる内容となっています。

当日のシンポジウムでもさまざまな議論がなされましたが、時間の都合上、割愛した質問などもありました。この度、詳細な注が施された緻密な文章の形で過日のご発表内容を改めて深め考えることができるかと思いますので、ご紹介申し上げます。

[支部会員書籍情報]日本比較文学会東北支部編『問題としての「アメリカ」 比較文学・比較文化の視点から』

来月に刊行予定の東北支部からの著作をご紹介致します。

 

日本比較文学会東北支部編『問題としてのアメリカ 比較文学比較文化の視点から』(晃洋書房、2020年8月10日)

 

2015年から支部研究会で開催してきた連続特集テーマ「アメリカ」の企画が、書籍として形になりました。

東北支部会員12名による論考と、森田直子支部長による「はじめに」と編者である伊藤豊氏・森岡卓司氏による本書成果を総括した「あとがき」から成る、比較文学比較文化研究の論集です。詳細は以下のサイトをご覧ください。 

www.koyoshobo.co.jp

 

宜しくお願いします。

【重要なお知らせ】第22回比較文学研究会中止のお知らせ

2020年7月25日(土)午後、東北大学大学院情報科学研究科にて開催予定の第22回比較文学研究会を中止することにいたしました。

東北をはじめ全国的に新型コロナウイルス感染の広がりは比較的抑えられておりますものの、今後の状況がどうなるかは到底予断を許さず、大学や図書館などの研究環境が大きく制約されている中での研究会開催は難しいと判断せざるをえませんでした。ご了承のほどお願いもうし上げます。