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[研究発表]要旨③

【研究発表③】

井上浩一「日本の児童書西遊記における「河童」としての沙悟浄
 周知のとおり、沙悟浄とは中国小説『西遊記』に登場する妖怪であり、玄奘の弟子の一人(一匹?)という役割を割り当てられている。
 この沙悟浄を、「河童」とするケースが、日本ではしばしば見られる。しかし、河童は日本の土着の妖怪であり、当然原作における沙悟浄は河童ではない。そこでこれまでも、日本において何時から沙悟浄が河童とされるようになったのか、などの疑問が持たれ、研究が進められてきた。
 発表者は、児童書としての西遊記受容を研究している立場から、これらの研究とはやや視点を変え、(1)そもそも日本の児童書西遊記において、沙悟浄を河童とすることは一般的なのか?(2)もし(ある程度以上)一般的なのだとすると、それはいつ頃から、どのような流れの中で一般化したのか?という二点について調査・考察を行った。本発表ではその結果について報告を行いたい。