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[研究発表]要旨

ソロモン ジョシュア・リー(弘前大学

満洲/国における日本語文学と自然界のメタファーの多様性」 

 

 この発表では、日本帝国時代に満洲文壇の作家による日本語文学を取り上げ、その中で用いられた自然界のメタファーを分析する。内地の大衆文学では、「満洲」は天然資源が豊富な、文明が発達していない大自然/大地として、開拓のために理想化して描かれていることが先行研究により明らかにされている。一方で、いわゆる満洲文壇やその中の「マイナー」な作家達の詩作・小説における自然界・自然現象の心象についてはまだ充分に論じられていない。そこで、主にマイナー詩人である高木恭造と坂井艶司が活用した「動物化」・「植物化」する人間の心象に焦点を当てて「自然」のメタファーについて論じたい。従来の「満洲日本語文学と自然界」の解釈を参考にしながらその視野を広げ、この詩人達の身体論を考察していく。