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【研究発表①】要旨

『語絲』における日本認識の一側面 ―『順天時報』に対する姿勢を中心に―

                     肖 燕知(東北大学国際文化研究科)

 
『語絲』は1920年代後半に中国文壇において大きな影響力を持った文芸雑誌である。魯迅、周作人、林語堂らを主な執筆者とする『語絲』には、政治、社会、文化、文学など様々な方面から日本のことを論じたり、紹介したり記事が少なからず掲載されている。その中で、対象とされるのが一番多かったのは、中国で発行していた日系新聞『順天時報』であった。 『順天時報』に対する姿勢を通して、『語絲』における日本認識が垣間見られるため、本論では『語絲』における同紙に対する姿勢を詳しく検討していきたい。『順天時報』は日本から中国への文化侵略の一環と見なされたため、『語絲』では基本的に否定的、批判的な姿勢をとっていることが見られる一方、同紙が果たした役割を評価しているところも一部存在していたことを論じたい。