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【講演2】要旨

宮澤賢治「永訣の朝」を読み直す──翻訳を経由して──  佐藤伸宏東北大学名誉教授)

 

 宮澤賢治の心象スケッチ集『修羅』(大13・4)所収の「永訣の朝」は、妹をめぐる歌として膾炙している詩で。こ詩についてめて考えるために翻訳を参 照する。周知如く賢治の作品は様な言語にって精力的に翻訳が行われてており、「永訣の 朝」に関しても少ならぬ数の翻訳が発表されているそれら複数の翻訳テクスト視野れてその原詩としての「永訣の朝」に考をえるとにしたい

 翻訳研究にいては基に、原文忠実さ、正確さという 〈等価性(equivalence)〉 の原理が 考察の基軸れるしかしながらわけ詩と呼ばれる語表に関してその語意味 的コノテーョンや音韻的、韻律的価値等てを含んだ等価物異な語の中に見出は到底あり得なした中でされる詩の翻訳は、〈等価性〉評価基準とする限り、常に翻 訳不可能性という事態実証するみと見做される他なでならば、詩の翻訳について 考える時、原詩とのりやず、歪みを寧ろ自明前提見做観点も必要なろう。原文 か前提とした上でした翻訳の原文の表あり方自体照ら──本講演は、した下、翻訳を経由するという迂路えて辿りつつ「永訣の朝」を読 み直すみで