日本比較文学会東北支部 第21回研究会の発表者を募集します。
次回の研究会は、2020年3月28日(土)に岩手県盛岡市にて開催いたします。
発表をご希望の方は、2月7日までにタイトルと要旨(400字程度)を添えて事務局(右上プロフィール欄)までお問い合わせください。
*なお、発表者で常勤でない方には、支部としまして交通費の補助をさせていただく予定です。お含みおき下さい。
*発表の申し込みをいただいた方には確認のメールをお送りします。
講演 澤 正宏氏(福島大学名誉教授)
講演 秋草 俊一郎氏(日本大学)
報告 高橋 由貴(福島大学)
司会 佐野 正人(東北大学)
2000年代より英語圏を中心に、文学の生成・流通を世界的な視座の下で捉える「世界文学」という概念が定着しつつある。国家や民族という狭い仕組みに縛りつけられていた作品が、世界というフィールドに流通することで、新たな読者を獲得したり、従来とは異なる解釈へ開かれたりする。生来に獲得される母語以外の外国語で創作する行為や作品に対する評価も、劇的に変化しつつある。こうした「世界文学」論の隆盛を受け、今回の特集では、文学が世界規模で流通する際に問われる言語の選択という事態について考えたい。
進行は、まず澤正宏氏に「西脇順三郎のモダニズム」と題した講演をいただく。西脇はオックスフォード大学留学中に英詩集『Spectrum』(大正14年)を刊行する。この時、ラテン語で詩を書くという試みもなされている。日本を遠く離れ、日本語ではなく外国語で詩作をスタートさせた西脇の文学的営為について、モダニズムとの接触を中心にお話を伺う。
続いて、秋草俊一郎氏に「ソヴィエトと「世界文学」―翻訳と民族語創作の奨励をめぐって」と題してお話しいただく。ポストコロニアルな状況において、英語による一元的な支配ではなく、民族語による多様な創作を奨励すべき、そして翻訳を活発にすべきという議論がなされることがある。20世紀において、実際にそれを政策として実行した国家が、ソヴィエト社会主義共和国連邦である。今回の講演では、ソヴィエトが革命50周年を記念して出版した『世界文学叢書』全200巻を例にとりあげて、その内実をご紹介いただく予定である。
最後に支部会員より高橋由貴が、「畠山千代子の英語詩創作のプロセス」として報告を行う。宮城女学校時代、宣教師の指導の下で英語詩を作っていた畠山千代子という女性について紹介し、またウィリアム・エンプソンによる彼女の英語詩添削のコメントを検討しながら、〈日本人に英語詩が書けるのか〉という問題について提起したい。
夏目漱石のテオフィル・ゴーティエ受容 ―ラフカディオ・ハーンを媒介項として―
中島 淑恵(富山大学)
漱石文庫には、ゴーティエの作品の英訳が3種類収蔵されている。このうち1冊は、ハーン訳による「死霊の恋」、「ミイラの足」「カンダレウス王」が収められた1908年出版の『世界物語作家叢書』である。これらの作品は、もとは1882年にハーンが自費出版した『クレオパトラの一夜およびその他幻想物語集』に収められていたものであるが、いずれの作品も、訳出にあたってハーンが参照したと思われるゴーティエの原作にはさまざまな書き込みがあり、ハーンの初期作品に深い影響を与えたのではないかと考えられている。
漱石におけるハーンの影響については、テーマ上の共通性が指摘されることはあっても、それが実証されることは従来あまりなかったように思われる。本発表では、これらの物語について、ゴーティエの原文とハーンの英訳、さらに漱石の書き入れ等を比較検討しながら、とりわけ「墓」「死美人」といった問題系について、その影響関係を推論するものである。
本年度東北大会のご案内です。
日本比較文学会2019年度東北大会を下記の要領で開催致します。
皆様ふるってご参加ください。(一般来聴歓迎)
記
・日時 2019年11月16日(土)13:30~
・場所 福島大学 M棟3階 AV教室
[開会の辞]13:30~ 森田 直子(東北支部長)
[研究発表]13:35〜14:15
(司会) 江島 宏隆
・夏目漱石のテオフィル・ゴーティエ受容 ―ラフカディオ・ハーンを媒介項として―
中島 淑恵(富山大学)
[特集 シンポジウム]14:25〜16:55
言語の選択と文学の流通
(司会) 佐野 正人
澤 正宏(福島大学名誉教授)
〇講演2 ソヴィエトと「世界文学」―翻訳と民族語創作の奨励をめぐって
秋草 俊一郎(日本大学)
〇報告 畠山千代子の英語詩創作のプロセス
高橋 由貴
[総 会] 17:00〜17:30
[懇親会] 福島駅前
*懇親会にご出席を希望される方は、
*大学へお車でお越しになる方は、駐車場無料化措置の都合がありますので、事前にご連絡ください。