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日本比較文学会の東北支部活動について情報発信して参ります。

日本比較文学会東北支部第22回比較文学研究会(3月27日)オンライン参加用登録フォームのご案内

 3月27日の日本比較文学会東北支部第22回比較文学研究会につきまして、オンライン参加用の登録フォームを作成いたしましたので、お知らせいたします。
 参加をご希望の方は、下記のリンクからフォームに入り、お名前、メールアドレス等をご登録ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSezJnh7MqRAXgM7vVJKZfmx7_LHtvElGp7HQ23uilr2OYmWhQ/viewform?usp=sf_link
 
 なお、オンライン参加用のURLや資料の入手方法につきましては、登録された方に前日までにお知らせいたします。

[要旨③]

H.メルラン=カジュマン『#MeToo時代の文学』をめぐって

   森田直子東北大学

 

 フランス17世紀文学を専門とするH.メルラン=カジュマンの近著(Hélène Merlin-Kajman, La littérature à l'heure de #MeToo, Paris, Ithaque, 2020)を紹介しながら、#MeToo運動に文学がどう触発されたかという問題について話題提供したい。主たる話題は、(1)フランス革命期の詩人アンドレ・シェニエ(André Chénier)の田園詩において描かれる羊飼いの青年と少女の「結婚」の解釈をめぐる論争、(2)ガブリエル・マツネフ事件とヴァネッサ・スプリンゴラ『同意』、(3)北米などにおける文学教育現場でのtrigger warning(授業で扱う主題についてあらかじめ警告し、学生の感受性やトラウマに配慮すること)の是非の問題などである。作品の「内容」を議論するよりも、書かれていることを「文字通り」読むことの是非、作品の制作時と受容時の時代錯誤の問題などを取り上げる。(1)で扱う詩と試訳は事前レジュメで配布する。

[要旨②]

性暴力をめぐる「文学」の二面性―林奕含『房思琪の初恋の楽園』を中心に

   橋本恭子(日本社会事業大学(非常勤講師))

 

 #MeToo運動が始まる数年前から、台湾では性暴力をテーマにした小説が多数発表されてきた。 胡淑雯『太陽の血は黒い』(『太陽的血是黑的』印刻、2011年)、甘耀明『冬将軍が来た夏』(『冬將軍來的夏天』寶瓶文化、2017年)など代表的な作品は邦訳もされている。最も話題を呼んだ林奕含『房思琪の初恋の楽園』(『房思琪的初戀樂園』游擊文化、2017年)は、未成年の少女に加えられた性暴力がメインテーマだが、この小説にはもう一つ、「文学(教育)とは何か」という大きなテーマが設定されている。作者は、「文学」のある側面が性暴力を許す装置として機能していたことを暴露すると同時に、男性知識人が操る「文学」に対して、女性が抵抗の手段、あるいは再生の手段として見出す「文学」についても描いており、それは「文学」をめぐる価値転換を提示したとも読み取れる。この点は、ヴァネッサ・スプリンゴラ『同意』にも通じるだろう。そこで本発表では、性暴力をめぐる文学の二面性について問題提起し、国境横断的な対話を試みたい。

[要旨①]

「女性」の観点から見る1980年代の韓国      

    金貞禮(全南大学校(韓国))

 

 1980年代、当時の独裁政権を倒した韓国の民主化運動には、男女問わず多くの若者が参加したものの、以後女性たちの姿は薄くなっていった。男たちが政治家など社会のリーダーになっていく中で、女性はそれを手助けする役を余儀なくされる場合が多かった。今の韓国のMeToo運動をはじめとする女性運動は、その彼女たちの世代が生んだ子供、なおかつ教育した子供の世代、いわゆる1980年代から1990年代生まれの女性たちが中心になっている。

 一方、韓国では、日本の現代詩人の茨木のり子の「わたしが一番きれいだった時」(1957)という詩が多く読まれていたが、2018年には当代の韓国を代表する文貞姫が日本の女性の「傷」に共感する同題の詩を書いた。茨木のり子が日本人の「冷淡さ」を克服するために試みた様々なこと、韓国語を学ぶことや韓国に関する勉強、韓国への訪問、そして韓国語での会話の試みなどのコミュニケーションの方式は、初期の韓流ブームを主導した日本の中年女性たち、そして最近の韓流を主導している若い女性たちに引きつがれているように見える。さらにこの頃日本でもっとも多く売れている韓国小説が他でもないチョ・ナムジュの小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(2016)であるという事実は、茨木のり子と文貞姫が示した日韓のシニア世代のジェンダー的共感がチョ・ナムジュの小説を読んだ日韓のジュニア世代に引きつがれているように思える。

[企画趣旨]女性文学の現在

 2017年ごろから世界的なMeToo運動の高まりとともに、女性をめぐる状況も大きく変化した。ハリウッドやノーベル文学賞において、MeToo運動を受けた形で見直しが図られたように、文化や国境を横断する運動としてMeToo運動は波及していったからである。もちろん文学やサブカルチャーにおいても例外ではなく、英米圏、アジア、ヨーロッパ各地域で女性文学・女性文化への注目度は高まっている。特にアジア圏では韓国で『82年生まれ、キム・ジヨン』がベストセラーとなり映画化もされるなど、若手の女性作家が次々に作品を発表し、フェミニズム文学の隆盛を迎えている。また、同様の動きは日本でも多和田葉子柳美里の小説がアメリカで全米図書賞翻訳部門を受賞するなど、起きているように見られる。
 本研究会では各地域の女性文学や大衆文化をテーマとして、3名の登壇者にご発表いただく。その後、コメンテーターからのコメントを交えて、アジア圏、英米圏、ヨーロッパ、など各地の女性文学や大衆文化が置かれている状況を相互に討論し、情報交換できる会となれば幸いである。

日本比較文学会東北支部 第22回比較文学研究会(オンライン開催)のお知らせ

今回の比較文学研究会を以下のようにオンライン(Zoom)で開催致します。
会員のみなさまはもちろん、会員外の一般の方々のご参加もお待ち申し上げております。

 

               記 

 

日  時:    2021年3月27日(土) 14:30〜17:00

 

[開 会 の 辞] 東北支部長 森田直子

 

[ワークショップ] 女性文学の現在     

 

コーディネーター:佐野正人(東北大学

コメンテーター:江口真規(筑波大学

 

 全南大学校(韓国) 金貞禮

・「女性」の観点から見る1980年代の韓国

 

日本社会事業大学(非常勤講師) 橋本恭子

・性暴力をめぐる「文学」の二面性 ―林奕含『房思琪の初恋の楽園』を中心に

 

東北大学  森田直子

・H.メルラン=カジュマン『#MeToo時代の文学』をめぐって

 

 

[オンラインでの参加について]
 今回の研究会は、オンライン会議用ソフト「Zoom」を使用しての開催となります。参加方法については、支部会員宛のメールおよび日本比較文学会東北支部のこのホームページでお知らせいたします。
 なお、オンラインでの参加が難しい方は、日本比較文学会東北支部オンライン問い合わせ先hikakuth⭐︎gmail.com(⭐︎→@に変換してお使いください)までご連絡ください。

 

 

日本比較文学会2020年度東北大会 登録フォームにつきまして(締切お知らせ)

標記の大会について、多くの方々からの事前エントリーありがとうございました。

オンライン参加のご登録は、29日午前10時で締め切らせていただきます。ご了承ください。