・田尻浩幸著『李人稙と朝鮮近代文学の黎明――「新小説」「新演劇」の思想的背景と方法論――』、明石書店、2015年10月
・書籍情報
【本書目次】
はじめに
◎第一部 朝鮮近現代文学の夜明け
第一章 愛国啓蒙運動期の演劇改良論――忠義愛国と改新儒学派を中心に
一 序論
二 演劇改良と忠義愛国
三 改新儒学派の対応
四 結論
第二章 現実を投影・構成する新小説『銀世界』
――文明史と儒教主義そして親日の交錯
一 序論
二 封建専制下で文明化を推進した義民崔秉陶の姿
三 「徳」の言説と文明史的視点の共存
四 民衆意識と国利民福
五 現実を投影・構成する『銀世界』
六 結論
第三章 李人稙小説のメロドラマ的性格研究――フランスロマン派的傾向を中心に
一 序論
二 李人稙の小説とグロテスクメロドラマ
三 結論
第四章 李人稙とアンチモダン――「社会学」と「メタ政治学」の視点から―
一 序論
二 李人稙の「社会学」を読む
三 李人稙の倫理観と「国民社会」の合目的性
四 李人稙の作品と「メタ政治学」
五 結論
第五章 李人稙の創作意識と方法論に関する考察――松本君平の影響関係を中心に
一 序論
二 「近代認識論」の受容と「儒教的伝統」
三 松本君平と「絶対霊命のリべレーション」
四 「アレン氏の短篇小話作法」と李人稙の新小説に表れた「道徳的神秘」
五 李人稙の社会・国家的倫理観と小説創作
六 結論
資料1 松本君平著『新聞学』
資料2 朝鮮文学「寡婦の夢」
◎第二部 李人稙とその時代
第六章 李人稙の生涯とその環境――啓蒙思想形成はいかになされたか
一 生涯と叙事的考察
二 東京政治学校と李人稙の文学修養
三 都新聞社見習い時代
四 結論
第七章 日本における李人稙
――政務局報告書「李人稙ノ行動」及び『東京政治学校雑誌』所収の新資料を中心に
一 序論
二 李人稙に関する予備的考察
三 李人稙と「近代」
四 結論
おわりに
資料
韓国新聞創設趣旨書(1903・5・5)
李人稙略年譜
東北支部会員である田尻浩幸氏の単著が刊行されました。『血の涙』をはじめ、朝鮮の「新小説」および「新演劇」をリードした李人稙、その小説の形成過程について解明する内容です。東京政治学校時代、都新聞社見習い時代といった日本滞在時期の活動について歴史的資料にあたり、李人稙の文学的営為を追跡した一冊となっています。