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[シンポジウム ロマン主義の伝染力(ヴァイラリティ)]趣旨

・コーディネーター 渡辺 将尚(山形大学) 

・基調講演                金津 和美(同志社大学

・パネリスト            佐藤 伸宏(東北大学) 

・パネリスト            加藤 健司(山形大学) 

 

 18世紀末のドイツに花開き、数々の名篇を世に送り出したロマン主義は、他国の文学・芸術活動に大きな影響を及ぼし、政治的にも19世紀前半のさまざまな革命運動の思想的拠り所となるなど、その影響力には計り知れないものがある。本シンポジウムでは、ロマン主義が持つそうした強い影響力を「伝染力」として捉え、この「伝染力」を生み出す根源とはいかなるものであったのか、同時代の他国・他文化への「横の広がり」、およびドイツの後の時代への「縦の広がり」を視野に入れながら考察する。

 進行は、まず金津和美氏に基調講演をいただき、ついで2名のパネリスト、さらにはフロアの参加者を交えて議論を行う。講演では、「ロマン主義の世界的流行(パンデミック)―島国イギリスと二つの大陸」をタイトルとして、ウィリアム・ワーズワスとサミュエル・テイラー・コウルリッジという二人の詩人を中心に、フランスの啓蒙主義、ドイツの観念論哲学からの影響、またアメリカのロマン主義である超絶主義(トランセンデンタリズム)への展開という二つの側面から、イギリス・ロマン主義ヨーロッパ大陸北米大陸をつなぐ思想的集線装置としていかに機能したのかについてお話しいただく予定である。