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[ワークショップ 「笑い」]企画の趣旨

コーディネーター・司会 森田直子東北大学


 洋の東西を問わず、笑いや滑稽、風刺を意図した文学ジャンルは古来一定の存在感を持ってきた。受容者の笑いであれ、作中世界あるいは語り手の笑いであれ、笑う人とその周囲にもたらされる力(現実をいったん超えたあとで現実に戻ってくる力)が、文学テクストという回路を通して表現されてきたことに目を向けたい。
 このたび、「笑い」に関するワークショップの呼びかけに対してアイデアを寄せていただいた三名のパネリストは、いずれも20 世紀の社会情勢、映像文化などを背景とした新しい身体観のもとでの「笑い」に注目している。それは一方で、笑いを通した文学的表象(芸術運動と結びついた新時代の身体表象、あるいは極限的心理の表現)の可能性を示しており、また一方では、新しいタイプの大衆読者を束ねる力ともなることを示している。フロアでの議論を通して、「笑い」の文学的表現についてさらに多様な視野が開かれることを期待したい。